2012・冬 COP17の総括、原発・フクシマ最新動向、そして自壊する日本と世界

    1/4 page
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

2012・冬(その1)

(自壊していく日本と世界)

H教授―最近の野田サンをみていると、「はじめは処女の如く、終わりは脱兎のごとく」というコトワザを思い出しちゃうね。

Aさん―ほんとですね。突然TPPを言い出すし、そのあとは社会保障と税の一体改革とかいって消費税増税に向けて一直線です。八ツ場ダムは再開を決めちゃうし、辺野古のアセス評価書は御用納めぎりぎりに県庁に送りつけました。おまけにフクシマの原発事故は収束したといって顰蹙を買うし、京都議定書の第二約束期間には参加せずで押し切っちゃいました。

H教授―あとの二つは後ほどじっくり話そう。
まあ、本人は使命感に燃えているのかもしれないが、米国と財務省の走狗かと言いたくなっちゃうよ。

Aさん―八ツ場と辺野古はセンセイが前講で言ったとおりになりましたね。

H教授―危惧したとおりと言ってくれ。
辺野古の件だが、環境アセスが単なる手続きとして、辺野古移転を一歩前に進めるための道具にされている、というのは悲しいね。いまの民主党政権はかつての自公政権以上に米国追従で、アメリカのポチみたいだな。
それでなくても環境アセスメントは、アワスメントだとか免罪符だとか単なる手続きだとか、いろんな陰口が叩かれている。ここへ来て、さらにイメージが悪くなるのは、残念なことだ。

Aさん―そして八ツ場ダムも最終的なゴーサインが出ました。

H教授―民主党のマニフェストは相互に矛盾することもあったが、間違いなく評価できたのは「コンクリートから人へ」だった。
その象徴が、沖縄の泡瀬干潟埋立中止と八ツ場ダムの凍結だったが、既に泡瀬干潟は埋立工事が再開され、残った八ツ場のほうも結局推進することになった。
これで民主党政権の存在意義は崩壊したと思うよ。

Aさん―八ツ場ダムは防災上必要で、これが一番安上がりだって結論だったそうです。

H教授―そういう官僚の大本営発表を疑うことから、「コンクリートから人へ」のマニフェストが出たはずだ。いまは東日本復興で、それでなくてもカネがかかるんだ。とてもそんな余裕があるはずがない。
だいたい、消費増税を言い出したのは、累積債務が1000兆円になるなどのピンチな状況になったということなんだろう?
だったら緊縮財政にしなければいけないのに、来年度予算案は一体何なんだ。

Aさん―思いっきりのバラマキ予算ですね。実質96兆円という史上最大の予算。八ツ場ダムだけでなく、整備新幹線や東京外環道なども一気に動き始めました。でもこれってマニフェストに思いっきり違反してますね。

H教授―マニフェストのことはいいよ。状況が変われば、それなりの対応はしなければ仕方がない。ぼくは一概に増税に反対ではない。だけど、税のアップを消費税だけに頼るのがいいかどうかは別問題だ。そのくせ温暖化対策税の導入は先送りにしちゃった。
累積債務云々を言うのなら、少なくとも来年度予算案のようなバラマキをやめることを前提とすべきだろう。

Aさん―さすがに党内からも批判がでて、脱党者が後を立ちません。

H教授―TPPにしても消費増税にしても原発問題にしても、民主党だけじゃなく自民党も党内はまっぷたつ。政界再編成は必至というか、もはや既成秩序が音を立てて自壊していく季になったような気がする。

Aさん―3/11の東日本大震災、それに引き続くフクシマのメルトスルーがきっかけですね。

H教授―うーん、でも、ああいう悲惨な大事故が起きると、一時休戦して挙国一致になるのが普通だと思うけどな。
ただねえ、こういう混迷は、日本では3/11をきっかけに露呈したように見えるけど、じつはリーマンショック以降、世界のいたるところで見られるようになった現象だ、というのを忘れちゃいけない。
年が明けて、フランスやスペインの国債格付けダウンで慌てているEUもそうだよね。
つまりどの国も新たな未来のビジョンが、描けなくなっちゃった。

Aさん―そういえば米国でもグリーンニューデイールを唱え、熱狂的に迎えられたオバマさんが、このところ急速に失速しています。

H教授―かといって、共和党に再び振り子が振れたわけではない。

Aさん―あ、それって日本と同じですね。民主党政権が出来ましたが、急速に支持を失いました。かといって自民党が再浮上したわけでもないですよね・・・

H教授―つまりさっきも言ったように、世界は既存の秩序が、雪崩のごとくに自壊する過程に入ったってことじゃないかな。日本の民主党だって、すでに自壊過程に入ったんじゃないかと思うよ。

Aさん―そ、それって大変なことじゃないですか。或る意味では人類の危機ということでしょう?

H教授―秩序が崩壊するってことは、それに代わる新たなものが生まれる、ということでもある。ジャスミン革命やウオール街占拠運動がそうだし、ロシアや中国だってその兆しがないわけではない。この変動の主役の特徴は、カリスマ的なリーダーがいないこと、そしてPCとケータイを使ってのネットワークシステムが、力を発揮しているということだ。

Aさん―最後の独裁者といわれた金正日サンが急死しました。北朝鮮もこれがきっかけで変わることはないのですか。

H教授―さあ、どうだろう。変わってほしいが、それを阻むために、権力側がとんでもない暴走をされると、おっかない気もする。ま、いずれにしても、あのアナウンサーの口調を聞くだけで、げんなりするね。

Aさん―肝心の日本ですが、そうした再生への新たな動きって、なにかありますか。

H教授―自然発生的な反原発運動のように、その芽がないわけじゃないが、日本ではむしろ既得権や既成勢力を破壊してくれる、強いリーダーを望む受動的な姿勢が目立つな。

Aさん―そうか、それが橋下サンの勝利の原動力なんですね。でも確かにシステムを急いで変えなきゃいけないのに、一向に変わらないというもどかしさがありますね。なにしろ「維新」にはスピード感がありますもの。

H教授―問題はその先だと思うよ。ボクの個人的偏見かもしれないが、ちょっと不気味だ。

Aさん―うーん、新年になったのに相変わらず暗い話ばかりですね。なにかいい話はないんですか。

    1/4 page
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4