最終時評―2013年の環境政策のみどころ

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2013・冬(その1)

(日本の常識・世界の非常識―1、教員退職金問題)

Aさん―センセイ、退職記念パーテイをしてもらい、先月早々には最終講義。いよいよ定年退職まで秒読みになってきましたね。(→ゼミブログ

H教授 ―うん、結局キミの学位論文をみることはできなかったな。

Aさんいや、まあ、その話はやめときましょう。(照れ笑い) ―教員の退職といえば、公務員退職手当法が改正されたのに伴って、地方自治体にも平仄をあわすよう国が指導。いくつかの自治体で、年度途中からの公立学校の定年を迎える教員の退職金の切り下げが決まりました。
1月末で退職した方が得だということで、3月末まで勤めないで退職する教員が続出。なんと1割にも達したそうで、文部科学大臣が無責任だと激怒してましたね。

H教授 ―キミはどう思う?

Aさん ―やはり無責任なんじゃないですか。

H教授 ―その責任は教員にあるのか? 日本だから1割ですんでいるんだ。外国だったら間違いなくほぼすべての教員が退職しているだろう。

Aさん ―え? そうなんですか。

H教授 ―経済学と言う学問は、人間が経済合理的な行動をすることを前提にしてはじめて成立するんだ。
3月末日までやめないということは、1月末日にやめるのと比べると、2月、3月と二月間タダ働きさせられた挙句、さらに退職金が70万円も下がるということなんだぜ。無茶苦茶だろう。
それでも3月末までやめるなって言うのは、「日本の常識は世界の非常識」の典型だね。

Aさん―つまり制度設計のミスですか。

H教授 ―ピンポーン。こんな制度設計をするほうがおかしいし、それを国に指導されたからって唯唯諾諾と受ける自治体のほうがナンセンスだ。

Aさん―でも9割の先生はやめずに3月末までいるそうですよ。

H教授 ―納得したからじゃない。みんな内心カッカきてるよ。
でも、そうしなければ世間の不合理なイジメに合うということを知っているからだ。
日本社会が内在的にもっているイジメ体質、そして「他人の不幸は蜜の味」的な卑しい大衆のルサンチマンに阿った制度設計自体を批判すべきだろう。
そもそも公務員は争議権を制約されている代償に、人事院勧告とか人事委員会勧告という制度が設けられているんだ。それを無視して、こういうカットをすること自体違法だと思うよ。


(日本の常識・世界の非常識―2、スポーツと“体罰”)

Aさん―教員といえば、最近は生徒間のイジメだけでなく、運動部の監督やコーチの体罰が問題になってますね。女子柔道のナショナルチームでも監督の体罰が騒がれ、辞任に追い込まれました。

H教授 ―いずれの場合も、「体罰」と言うコトバ自体が間違っている。
ルール違反の悪ガキに対する実力行使を体罰というならわかるが、これは違うだろう。
運動部の場合は、しごき或いは制裁、最近の言葉で言えば暴力行為によるパワハラだ。
非合理の典型のようなものだが、昔から日本では当たり前のようにあった。
これも日本社会のイジメ体質の一つで、戦前の軍隊がそうだったが、いまもスポーツの世界ではしばしばみられる。だからこそ、ボクは運動部に入らなかったんだ。

Aさん―はは、センセイみたいな運動音痴が入ったら、絶対ボコボコにされてましたね。

H教授 ―これも「日本の常識は世界の非常識」の一つだね。
こんなことはどうやら日本だけのようだ。グローバリゼーションの流れの中で、ようやく日本でも問題にされるようになったんだろうな。
「日本の常識は世界の非常識」と言われる中では、「世界」の方が間違っている! と言いたくなるものも多々あるが、今あげた二つは日本の常識の方が間違っているね。


(原発安全基準骨子案が明らかに)

Aさん―さてぼちぼち本論に行きましょう。原子力規制委員会が新たな安全基準の骨子案をまとめましたね。

H教授 ―うん、とりあえずは骨子案だけで、7月に正式のものが決まるそうだ。世界の最先端と言っていいほどの厳しい基準になっているとのことだ。

Aさん―どんな内容なんですか。

H教授 ―設計基準、シビアアクシデント対策、地震・津波対策という三部構成になっている。まず、設計基準、これは想定範囲内の事象を前提とした設計基準。次にシビアアクシデント対策で、まず設計上の想定を超える事態の発生のときの炉心損傷に至らせないための新規対策として代替電源等を要求している。次いで、炉心損傷が発生したとき、格納容器の破損防止のための新規対策としてフィルター付きベント等を要求している。また、航空機テロ等による炉心損傷が発生したときに使用できる施設として特定安全施設の設備を要求している。第二制御室だとかだね。さらに、格納容器破損のときの対策として屋外放水設備等も要求している。

Aさん―緊急時対策所も要求しているそうですね。

H教授 ―従来言われていた免震重要棟のことかな。
最後が地震・津波の基準だ。従来の耐震安全指針ではほとんど触れていない津波について、原発ごとに発生する最大規模の津波を「基準津波」として電力会社が設定、近傍の活断層による地震動にも十分な余裕を考慮した「基準地震動」も電力会社が策定し、原発の設備等がそれに対応できるようになっていることを義務付けている。

Aさん―もちろんその妥当性は規制委員会が審査するわけですね。

H教授 ―うん、で、活断層なんだけど、「重要な安全機能を有する施設は、将来活動する可能性のある断層等の露頭が無いことを確認した地盤に設置すること」としており、注釈として「耐震設計上考慮する活断層は、後期更新世以降(約12〜13万年前以降)の活動が否定できないものとし、必要な場合は中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡って活動性を評価」としており、ちょっと曖昧な感じがしないでもない。

Aさん―そして最後に自治体で区域を大幅に拡大した地域防災計画を策定するというわけですか。この新安全基準がパブコメにかけられました。
で、再稼働の安全審査の受付は、それが施行された後からだと、規制委員会の方では決めているわけですね。

H教授 ―うん、活断層問題でも、敦賀原発の下の断層は活断層の疑いが強いと規制委員会の意見は全員一致。規制委員会だって、原子力ムラから脱却したと言うところを見せなきゃいけないということは、依然として厳しい姿勢は崩していない。

Aさん―そして最後に自治体で区域を大幅に拡大した地域防災計画を策定するというわけですね。
これと再稼働はどう関係するんですか? そもそもなんで7月なんですか。


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