玄冬の只中で

 

    1/4 page
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4

2015・冬(その1)

winter

世相を斬る

Hキョージュ ―イスラム国に拘束されていた湯川さんと後藤さんの二人の日本人が惨殺された。二人とも、何の罪もなく、とくに後藤さんは人道支援や隠された戦争の真実を掘り起こそうとしていて国際的に評価されていた素晴らしいジャーナリストだ。二人のご冥福をお祈りしよう。(二人、黙祷)

 

Aさん ― センセイ、「イスラム国」って余りにも冷酷非道じゃないですか。心がまるで石でできているような気がします。もうイスラム教って大嫌い!

Hキョージュ ―おいおい、イスラム教は信徒10億人の世界宗教だぞ。「イスラム国って名前はイスラムを侮辱している」って、敬虔なイスラム教徒が怒り嘆いていたのをTVでみなかったか。それにキリスト教とイスラム教は兄弟みたいなのものなんだぜ。

Aさん ―  そんなバカな。イスラム教ってアッラーの神を信じ、コーランが聖典でしょう。キリスト教はヤハウエの神を信じて聖書が経典じゃないですか。

Hキョージュ ―ヤハウエーーエホバと言うこともあるがーーというのは、ヘブライ語。それをアラビア語ではアッラーというんだ。イスラムはコーランだけでなく、旧約聖書、新約聖書も副次的ながら経典にしているし、イエスのことも偉大な預言者だとしている。 

Aさん ― じゃあ、イスラムって言うのは? 

Hキョージュ ―「神に帰依するもの」って言う意味だ。そして教徒のことをムスリムという。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、みな同じ神を信じていることを忘れちゃいけない。 イスラム国って、さしものアル・カーイダも口を極めてののしっている。鬼っ子という以上に本来のムスリムから逸脱しているんじゃないかなという視点を持つことも必要だ。 さあ、前回の昨年11月以降の大きなニュースを拾っていこう。

Aさん ―理研がSTAP細胞は存在しないと結論付け、再現に失敗した小保方サンは退職しました。理研OBが彼女を刑事告発したそうです。 

Hキョージュ ― お、おい、それがトップニュースか・・・(ガックリ) ま、それにしても理研ともあろうものが、なぜ、再現性があるかどうかをチェックしないままNATUREに投稿させたんだろうか。最後までよくわからない事件だったな。小保方サンは…(言いかけて、あわてて)ハイ、次! 

Aさん ― 12月、なぜか突然安倍サンが衆院を解散し総選挙。結果は予想通りとはいえ、与党圧勝でがっくりきました。

senkyo

Hキョージュ ―選挙結果は違う見方もできるよ。例えば投票率だ。2012年の選挙から6%も低く、史上最低の得票率になった。2012年の総選挙では民主党に失望した票がわっと自民党に流れたが、6%の有権者はその安倍自民党にも失望して、積極的に棄権を選んだという見方も可能だ。 

Aさん ― つまり安倍自民党は、投票者でなく国民全体でみると支持率を相当下げたということですか。なんだか慰めにもならないような気がしますが… 

Hキョージュ ―まだある。与野党比は実は2012年とほとんど同じなんだ。だが、中身が若干違う。野党と言っても、今回は「自民党より右」を明言していた部分もいた。

Aさん ― 石原サン、平沼サンや田母神サンの「次世代の党」ですね。

Hキョージュ ―19名の議員がいた。ネット上では支持者の威勢がやたらよく、安倍自民党が公明党を切り、次世代の党と連立すべきだと鼻息も荒かった。ネトウヨや在特会と親和性があったんだろうな。 だが実際に選挙してみると、壊滅的な惨敗。明らかに人々はナショナリズム右翼を拒否したんだ。安倍サンもそのことはわかったろう。 今年の夏には、歴史認識について新たな首相談話を出すそうだが、オバマ民主党政府からは村山、河野談話の継承と言う圧力もかかっており、これ以上の急速な右旋回は難しいと思うよ。

Aさん ― でもそれは希望的観測ですよねえ… 年が明け、来年度の政府予算案が公表されました。一般会計総額は96兆円強と過去最大です。防衛費や公共事業費も増やしています。 そしてムダな公共事業の典型とされ、民主党政権時代に一旦ストップさせていた八ツ場ダム(→81講その2)も、つい先日本体工事を始めました。 中でもアタシがアタマに来たのは、政府の沖縄県へのイジメというか兵糧攻めです。辺野古移転(→2014秋その3)経費は増やす一方で、沖縄振興費を減らし、翁長知事が上京しても安倍サンは面会拒否。

Hキョージュ ―沖縄県知事選も自民党は敗れたし、総選挙でも沖縄は全区で自民党敗北、沖縄の民意は明らかになったのに、それを逆なでするように辺野古移転も本格的な工事に着手したね。翁長知事は埋め立て承認の過程で法的瑕疵がないかどうかの検証委員会を設置することを決めて、その間は工事を中止するよう求めているが、無視するんだろうな。こんな非道なことをしていると、そのうちにスコットランドのように、沖縄独立論が力を持つかも知れないよ。

Aさん ― もうホントに明るい話がまったくないじゃですね。日本も世界もこれからどうなるんだろうと暗澹とします。

Hキョージュ ―そうネガティブになりなさんな。 昨年末にはアスベストの集団訴訟で国が謝罪し補償する和解が成立したというニュースがあったじゃないか。年が明けてから厚生大臣が現地に謝罪に赴いた。また、滋賀、沖縄に続き、年が明けてからの佐賀知事選でも、安倍自民党が推した候補が敗れた。 米国とキューバが半世紀ぶりに国交回復の交渉を始めたなんていうニュースもある。たまたま両国の利害が一致したんだろうが、いいことには違いない。まだ国交回復がなるかどうかは不明だけどね。 でも国交回復されたら、キューバは貧しいけど奇妙に明るい不思議な国から、少し豊かになったフツウの国になるのかも知れないけどねえ。

Aさん ― そうか、センセイはキューバに二度も行かれて思い入れがあるんですね。

Hキョージュ ―うん、詳しくは52講「独断と偏見のキューバ社会論」を見てくれ。

Aさん ― センセイ、キューバだとかメキシコ・ユカタンだとかのJICA案件に噛んでおられたんですよねえ。英語はしゃべれなくても、スペイン語ならOKなんですね。

cuba

原発談義1―再稼働へ驀進中

Hキョージュ ―・・・・(恥じるように下を向く) さあ、これは環境行政時評なんだ。早く環境政策の話をしよう。 まずは原発だ。総選挙明けから原発再稼働の話などが一気に動いた。 工事中の大間原発(→2014春その3)が、総選挙の翌々日に新規制基準による審査を規制委員会に申請してきた。 そしてその翌日には 高浜原発3号機、4号機について規制委員会は規制基準適合との審査書案を公表した。   

Aさん ―あまりにもあざといですね。 しかもそれだけじゃないですよね。11月に関電は同じ高浜原発で、1,2号機という老朽原発の運転20年延長を言い出しました。とんでもない話じゃないですか。  

Hキョージュ ―40年廃炉が原則だが、例外規定があるから不可能とは言えない。規制委員会の審査をパスさせるには、相当手を入れカネをかけなきゃならないだろうが、減価償却した老朽原発を運転延長できれば、経営的にはぐっと楽になることは間違いない。(→2012冬その4)        

    1/4 page
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4