熊本地震と原発、そして瀬戸内法改正と鞆の浦

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2016・春(その1)

T 地震と原発

熊本地震の危機去らずー

A-san-and-deer

Aさん― ―センセイ、熊本が大地震で大変なことになっています。阿蘇から大分にかけても被害がひろがっています。     

Hキョージュ――  うん、これからどうなるか、完全に沈静したかどうかもわからないし、避難されている方も沢山おられる。お見舞い申し上げるとともに、一日も早く終息し復興が始まることを祈念しよう。

熊本地震概要
前震4月14日21時26分 / 熊本県熊本地方 マグニチュード6.5 / 震度7 
本震4月16日01時25分 / 熊本県熊本地方 マグニチュード7.3 / 震度7 
 
死者・行方不明50人 関連死疑い17人 避難者4/17 18万人強→5/3 2万人弱 
全壊・半壊・一部破損 5万棟強 
避難者;熊本県 熊本市、益城町、御船町、西原村、宇城市、南阿蘇村、嘉島町、大分県 28人 
震度別回数(〜5月4日午前9時)→これ以降、なおも増加中 
震度7 2回  震度6強 2回 震度6弱 3回  震度5強 4回 
震度5弱 7回 震度4 81回  震度1〜3 1097回 

Hキョージュ― ぼくのゼミでやっていた阿蘇実習では10年間いろいろ阿蘇や熊本の人々にお世話になった。なんとか耐え抜いてほしいと心から願っている。   

Aさん― 今回の地震は巨大な前震と本震のあと、延々と余震が東西の広い範囲に広がっていきましたね。     

Hキョージュ― 前震・本震・余震と分けるのがいいかどうかも疑問だ。広域連発地震とか連動地震群でも言った方がいいかもしれないんじゃないか。   

Aさん地図でみると活断層がいっぱいあるんですね。 (著作権の関係でリンク先の地図を直接表示できませんので、上記リンクより九州をご参照ください。 *編集者注)

Hキョージュ― うん、前震と本震の震源は布田川・日奈久断層帯の北東部に位置する。この断層帯についても注意を要する地域の一つとはされていた。だけど相対的な危険性は低いと思われていた。地震調査研究推進本部2002年に出した長期予測では「北東部が単独 で活動する場合,マグニチュード7.2 程度の地震が発生すると推定され,そのような地震が発生する確率は,今後30 年以内でほぼ0%」とされた。その後、見直されて30年以内に0−0.9%とされたとされたが、それでも危険度は低いという予測に違いない。

Aさん― 震源が東西に広がっていったことも、震度7の地震が相次いで起こるというのも想定外だったんですよね。     

Hキョージュ― うん、想定外だらけの地震だ。耐震構造で一度目は耐えたとしても、耐震性能が一気に劣化して二度目の地震で崩壊した家屋も多いと言う。耐震設計の世界でもこういう連発大地震は想定外だったそうだ。

A-san-and-deer

再説 地震と原発

Hキョージュ― ところで原発の耐震性はどうなっているか知ってるよね。    

Aさん― ええ、稼働中に襲われるかもしれない最大級の地震を想定して、耐震設計の基準にします。それが「基準地震動」で、最大加速度のガルという単位で表しています。(→2014夏その2) お隣、鹿児島県の川内原発の基準地震動は585ガルから620ガルに引き上げられてから再稼働しました。再稼働を目指す他の原発でも基準地震動は引き上げられました。伊方で570→650ガル、高浜が550→700ガル、大飯原発が700→856ガルで、規制委員会のOKが出ています。      

Hキョージュ― 基準地震動を超える地震に襲われる可能性はどの程度とされているか知っているか?   

Aさん― 確か、「超過確率」と言って、電力会社が試算して書類に載せているんですよね。どこの原発でも1万年から10万年に一回とされているんですよね。(→2016冬その3)。 原発は過去5回も基準地震動越えの地震に襲われてますから、超甘すぎる予測だと思いますが。

Hキョージュ― うん、でも基準地震動を超える地震が来ても即、大惨事にはならなかった。  

Aさん― 「残余のリスク」に備えるよう、相当の余裕を持った設計にしていたからですね。

Hキョージュ― その通りだ。じゃあ、どの程度以上だと原子炉がアウトになるんだ?   

Aさん― ・・・      

Hキョージュ― 実は3・11のあと、コンピュータ上でストレステストというのをやらせて(→2011夏その2)、それを明らかにするように求めた。それが「クリフエッジ」だ。「崖っぷち」という意味だね。これが川内では1000ガル。他の原発でも1000〜1300ガル程度だ。

Aさん― つまり原発立地地点で1000ガルを越す地震に見舞われると、超ヤバイんですね。 (ふと気付き)で、今度の熊本地震はどうだったんですか。      

Hキョージュ― 前震が1580ガル、本震が1362ガルだ。   

Aさん― ぎゃあ! クリフエッジをも上回ってるじゃあないですか! 

Hキョージュ― ちなみに2000年以降で1000ガルを超えた地震を表にしてみた。表の4022ガルが現在までのギネス記録だ。

表 1000ガル以上を記録した地震 (筆者作成)
年  地震名  1000ガル以上  最大加速度  出典 
2000  鳥取西部地震  1か所  1142ガル 
2003  宮城県沖地震  2カ所  1304ガル 
2004  中越地震  5か所6回  2516ガル 
2008  岩手宮城地震  4か所  4022ガル  ※※ 
2011  関東東北大地震  30カ所以上  2933ガル  ※※※の42p.以下 

Aさん― 地震予知や予測が難しいことは今回の熊本地震でも実証されましたよね。じゃあ、どこでも1000ガルを越す地震に見舞われる可能性があるということになるんじゃないですか?

Hキョージュ― 活断層地図をもう一度見てごらん。川内も玄海も伊方もそして福井の原発銀座にしても近くに活断層があるだろう?

Aさん― ホントですね。しかも隣の県が大地震に見舞われているのに、川内は運転をつづけているんですね。信じられない・・・

Hキョージュ― たかだか20年ほどの測定でこれだけ1000ガルを越す地震が全国で起きている。原発が基準地震動(600~800ガル)を超える地震に直撃される可能性が各原発で1万年〜10万年に一回なんて信じられるか? こんな言い分を認める規制委員会や裁判官の気が知れないね。   

Aさん― 熊本地震の直前に川内原発の運転差し止め仮処分を求める控訴審判決前半後半・骨子がありました。裁判官も熊本地震を知って内心忸怩たるものがあるんじゃないですか。

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